Las Meninas

女官たち


初めてこの絵画に出会ったとき、真ん中の「マルガリータ王女」が印象的なのと同時に、不思議な感じがしました。

これは、ディエゴ・ベラスケスが1656年に描いたスペインのバロック絵画で、スペイン・マドリードのプラド美術館に所蔵されています。

タイトル「ラス・メニーナス」(Las Meninas)は、「女官たち」を意味し、作品には幼い王女マルガリータと、彼女に仕える女官たち、そしてベラスケス自身が描かれています。

舞台は、フェリペ4世のマドリード宮殿の大きな一室です。

人物像のうち、幾人かはカンバスの中から鑑賞者の側に向かって注意を向け、残りの幾人かが互いに交流しています。

幼いマルガリータ王女を取り囲んでいるのは、お付きの女官、侍女、目付役、2人の小人と1匹の犬です。

彼らの背後には、大きなカンバスに向かうベラスケス自身が描かれています。ベラスケスの視線は絵の中の空間を超え、絵の鑑賞者自身の立ち位置の方向に向けられています。

背景には鏡がかかっており、王と王妃の上半身が映っています。王と王妃は、絵の外、つまり鑑賞者の立ち位置と同じ場所に立っているように見えます。

謎かけのような構成の作品で、現実と想像との間に疑問を提起し、観賞者と絵の登場人物の間にぼんやりした関係を創造します。

17世紀のスペインでは、画家が高い地位を得られることは、めったにありませんでした。絵画は、あくまで工芸であって、詩や音楽のような芸術とは見なされませんでした。

しかし、ベラスケスは、フェリペ4世の宮廷で、苦労の末1651年2月、侍従長( aposentador mayor del palacio )に任命されました。このポストのおかげで、ベラスケスは、地位と収入とを得ることができました。

しかし、同時にその任務にかなりの時間をとられることとなりました。人生最後の8年間で、彼は作品をほんの少し仕上げられただけでしたが、その大部分は王家の肖像でした。『ラス・メニーナス』を描いたのは、彼が王宮で働き始めて33年目のことでした。

『ラス・メニーナス』は、西洋美術史において重要な作品であると長く認められています。

バロック期の画家ルカ・ジョルダーノは「絵画の神学」を象徴するものだと言い、19世紀の画家トーマス・ローレンスは「芸術の原理」と呼びました。

最近のコメントには、「ベラスケスの最高作、自意識過剰で計算し尽くされた絵画による示威行動、そして恐らく、これまでになされたイーゼル画の可能性への最も厳しい批評」というものもあります。



Museo Nacional del Prado プラド美術館、マドリード

作者 ディエゴ・ベラスケス

製作年 1656年

種類 油彩

寸法 318 cm × 276 cm (125 in × 109 in)




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