De Nachtwacht
『夜警』
作者 レンブラント・ファン・レイン
製作年 1642年
種類 キャンバスに油彩
寸法 363 cm × 437 cm (143 in × 172 in)
所蔵 Rijksmuseum Amsterdam, home of Dutch master pieces、アムステルダム国立美術館
オランダの17世紀の画家、レンブラント・ファン・レインにより、1642年に描かれた作品です。
レンブラントの光と影を巧みに用いた独特の表現技法で、豪華な装飾を身につけた中心人物が際立たされているのは誰なのだろう、『夜警』という題名から、当時のオランダの警官の姿を描いているのだろうと理解していました。
こちらは、フランス・バニング・コック隊長率いる火縄銃組合の市民自警団の集団肖像画で、市民自警団の活動を生き生きと描いた傑作として知られています。
通称の『夜警』は長い間、この絵画の内容によく合ったものと考えられてきましたが、これは絵画の表面が茶色く変色したことによる誤解です。実は、この絵画は昼の情景を描いています。
バニング・コック家に保管されていたこの絵画のための素描には、横に以下のような記述があり、より適切な題名の手掛かりになっています。
「(隊長の若きプルメレント領主(バニング・コック)が副隊長のフラールディンゲン領主(ファン・ラウテンブルフ)に市民隊の行進を命令する)」
オランダの市民自警団(Schutterij)は、15世紀後半から17世紀にかけて、オランダの歴史と文化に深く根ざした存在であり、都市の安全と市民生活を支える重要な役割を果たしました。
市民自警団は、特定の職業ギルドに属するのではなく、様々な職業の市民によって構成されていて、聖ゲオルギウスや聖セバスティアヌスなど、武器に関連する聖人を守護聖人としていました。
聖ゲオルギウス(St. George)は、ドラゴンを退治したことで有名で、聖セバスティアヌス(St. Sebastian)は、矢で射られた姿で描かれることが多いです。
その起源は中世に遡り、都市の自治権確立と深く関わっています。都市の住民は、外部からの侵略や内乱に備え、自ら武器を取り、訓練を積む必要がありました。
16世紀のネーデルラント独立戦争(80年戦争)の時期には、市民自警団は、スペインからの独立を目指すオランダの重要な戦力の一つとなりました。この時期、市民自警団は、都市の防衛だけでなく、反乱軍や略奪者から市民を守る役割も担いました。
17世紀のオランダ黄金時代には、市民自警団は社交的な側面も持ち、画家レンブラントによる集団肖像画「夜警」に代表されるように、その活動や精神は現代にも伝えられています。
17世紀の市民自警団の隊長、バニング・コックが真っ黒な豪華な衣装を身につけていますが、現代のオランダの警官も、真っ黒な革ジャンを着ていて、精悍な姿でなかなか格好良かったと記憶します。
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