Mr and Mrs Andrews
『アンドリュース夫妻の肖像』
上の絵画は、イギリスのサドベリ出身の画家であるトマス・ゲインズバラ(Thomas Gainsborough)(1727年〜1788年)の初期のキャリアにおける傑作です。
現在、ロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されています。
ロバート・アンドリュース氏(1725–1806)とフランシス・アンドリュース夫人(1732年頃–1780)を描いたこの肖像画は、ロバート・アンドリュース、その妻、そして彼の所有地という「3つの対象を描いた肖像画」とも評されています。
夫妻の背後には、ストゥール川の渓谷越しに東へと広がる雄大な景色が広がっています。ロバート・アンドリュースは約3000エーカーの土地を所有しており、ここで目にする風景の大部分も彼のものでした。
夫人の膝元にある未着色の部分は、後から赤ん坊を描き入れるために空けておかれたものかもしれません。
エセックスの田園地帯の森や雲の美しさに包まれ、豊かな収穫を控えた畑や家畜のいる牧草地の傍らで、自らの土地に馴染んだ姿を意識的に見せるアンドリュース夫妻。
ゲインズバラは、刻々と変化する天候や自然のままの風景を説得力を持って描き出す手腕を遺憾なく発揮しています。こうした表現は、当時としてはまだ新しい試みでした。
ゲインズバラの出身地であるサドベリは、エセックス州との境界近く、サフォーク州の南西部に位置する歴史ある美しいマーケットタウンです。ロンドンからは北東へ約97km(電車で約1時間〜1時間半)の距離にあります。
サドベリは、ストゥール川(River Stour)の渓谷に位置し、川沿いのウォーターメドウズ(水草地帯)の風景が有名です。また、中世の羊毛貿易や絹織物産業で栄え、歴史的な木骨造りの家々が今も残っています。
トーマス・ゲインズバラの生家「ゲインズバラ・ハウス」は、現在は美術館となっており、彼の作品や生涯について学べる観光のハイライトとなっています。
ハウスの中心にある美しい歴史的な庭園は、献身的なボランティアによって手入れされています。
庭園には、4本の見事な果樹に出会えます。
ゲインズバラの時代にはすでに成木だった、ごつごつとした樹皮を持つ樹齢400年の桑の木。
秋にはデザートのような実をつけ、甘い香りを漂わせるメドラー(セイヨウカリン)。鮮やかな黄色の斑(ふ)を交えた花を咲かせ、芳香を放つマルメロ。
そして、庭の奥にひっそりと佇み、静かに息づく洋梨の木。
これら4本の木々は、季節の移ろいを告げるとともに、遠い昔の物語を静かに語りかけてくるようです。
ゲインズバラ(Gainsborough)の名前の後半のboroughですが、行政区、自治区を意味し、主にイギリス英語では「バラ(/ˈbʌrə/)」、アメリカ英語では「ボロー(/ˈbʌroʊ/)/バーロウ」と発音されます。
名前に忠実に、土地や風土に愛着を持ったお人柄が、そこの風景や人物を見事に描くことになったのではないかと思います。
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